久々の番外編です!
唐突ですが実は自分は高専の機械科出身です。
オタクになったのもほぼ高専に入ってからの洗脳のせいといっても過言ではないでしょう。(中学生まではハードカバーと図書館をこよなく愛する文学少年だったんですが…)
今回は、数ある教育機関で最も奇人率が高い高専の生徒である高専生が異世界に飛ばされても、奇行全開で突き進む作品「俺たちは異世界に行ったらまず真っ先に物理法則を確認する」が面白かったので紹介します。
高専生と理系の方はあるあるネタで、文系の人は何この人達…(引) ってな感じでお楽しみください!
作品紹介
著者 藍月 要
イラスト 閏 月戈
出版社 KADOKAWA
レーベル ファミ通文庫
刊行期間 2016/12/28 -
巻数 既刊3巻(2018年1月現在)
あらすじ
高等専門学校(高専)に通う雨ケ谷幹人は、学校の友人11名と中学生の妹とともに、なぜか異世界へ召喚される。
ロボコペ優勝を目指してガレージで徹夜作業をしていたはずの彼らが、まず行ったのは……物理法則の確認! 摩擦、空気抵抗、重力、電気抵抗と、自分たちの知識を駆使して、その土地を調べ上げるメンバー。
ひとまず生命が活動することができることを確認した彼らは、これから始まるサバイバル生活に落胆することしかできず……。
しかし、森で廃棄されていた魔道具【マジックアイテム】を拾ったことで、彼らの運命は大きく動き始める――!
これは、後に魔法技術の礎を築き上げた賢者たちの物語。
「俺たちは異世界に行ったらまず真っ先に物理法則を確認する」をおすすめするポイント
そもそも高専生って何?
高等専門学校は主に中学を卒業した者を受け入れる、多くが機械、電気、情報、土木、化学などを学ぶ工業系の科で構成される五年制の教育機関だ。
(略)
高専では、国語や歴史などの文系一般科目の時間が削られ、その代わりに機械科なら機械、電気科なら電気と、選択した専門の科目についての講義が山と用意される。
高校と比べ、良い悪いは別として特殊である事は間違いない教育機関だ。偏差値で言えば概ね六◯から六五と進学校クラスの位置にあるものの、なんだかよくわからない風変わりな学校というのが一般世間的な評価だろう。
(本作品より抜粋)
最後の一文がすべてを物語っている気がする(笑)
ようするに中学の時からものづくりとかが好きな理系が集まる学校です。
そしてこれは、通っていたことのある自分の経験も含めていますが、高専にはほぼ変な人しかいません。
なぜなら、中学卒業時に高専なんて特殊な道に集まるのは大体同じ種族だからです。
高専生の特徴としては、
- 人ごとによくわからない分野のディープな知識を持っている
- パラメータは合理性極振り
- 興味のあることには全つっぱ
- 実験・実習大好き
- レポート大嫌い
- しかも無駄に行動力がある馬鹿
と大体こんな感じです。
しかっも周りに同類しかいないせいで、どんどん症状が悪化して行くんですよね(笑)。
入学した時は常人だった人も1年もしたら立派な変人に洗脳されます。
いい点としては、何かしらの趣味を持っていれば絶対友達ができることですね。
自分は高専時代オタク趣味に染まりましたが、車やバイク、大型機械なんかの趣味が合う人もいました。
そんな周りから見ると変な集団が異世界に飛ばされたら…というのが本作品の面白さとなっています。
高専生ならではの異世界生活
みなさんは異世界に飛ばされたらまずはじめに、何をしますか?
高先生の彼らが始めたのは、「物理法則を確認すること」
いや、たしかにね。正しいんです。世界の法則が地球と違うと、致命的なダメージを負う可能性があるのは分かるんです…。
でも、真っ先にやろうと思うことじゃなくない?
しかし、それを平然とやってしまうのが高専生なのです!
(とかいってますが、これは自分は発想できません(笑))
・魔法の道具を見つけたら
森の中で、あきらかに科学とは違う原理で動く魔法の道具を見つけた一行。
みなさんはどうしますか?
高専生は、
「マジックアイテム?
なにそれどうなってんの!? 解体しようぜ!」
となり、超ハイテンションになります。
ちなみにこれは自分もやりそうで怖い(笑)。
未知の技術とかスゲー引かれますし、原理を推測して議論するのはめっちゃ楽しいですからね!
登場人物
いまさらですが、異世界から飛ばされたのはロボコペ(現実で言うところのロボコン)の部員たちです。
そのため息ピッタリで、馬鹿な内輪ネタ、高専ネタも平然とやります。そこがまた面白い。
また、主人公幹人の妹である唯一の常識人、咲と異世界人のザザが清涼剤のような役目を果たしてくれています。
この中では、照治が一番高専生のイメージに近いですね。
後、魅依先輩はかわいい、しかし現実の高専にこんな人は存在しない(泣)。
最初は主要なメンバーを中心に話が展開しますが、どんどん他のキャラの設定も無理なく掘り下げていってくれ、いつの間にかみんなの個性が大体分かるようになってきます。
高専っぽさはストーリーのアクセント
高専生ならではの行動や言動、言い回しの面倒さとかはありますがそれはあくまで、本筋のストーリーを色づけるアクセントに留まっています。
異世界での生活を考え、生き抜くすべを考え、そしてヒロインのために強敵とも戦います。
まあ、その度の行動や言動がいちいち高専生っぽのが面白いんですが(笑)
そんなストーリーの中で主人公の幹人が使う「独立だから」、という言い方はとっても好きです。
相手が口ベタなのと、その話を聞きたいと思っていることとは独立だから、話ベタなのは気にせずに話してくれ。
と言うような使い方です。かっこいいですね!(これをそう思うのは自分が染まっているからなのか…)
あとは、とある人の気持ちの推測に
「期待値を大きく取りたかった」「最大効率・最大効果を狙う」
とかいう言葉使っちゃうのも大概ですが、共感してしまう自分が怖い…。
最後に一言(感想など)
いやー、読んでいて懐かしい気持ちになったのと、こんな優秀な高専生は知らん(笑)という気持ちになりました。
でもテンションや、言動、行動はマジで共感できてしまうんですよね。
現役高専生だともっと思うこと多そうだけど読んでほしいですね!
まわりに高専生の友達や高専OBがいたら、ぜひ薦めてみてください。
もちろん皆さんが読んで、何この人たち…と楽しむのも結構です。
それでは!
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2巻、3巻も途中までありますが面白いところで止まっているので購入をおすすめします。